照明デザイナーとして活躍されている長町志穂さん。“あかり”をデザインする照明デザイナーとはどのような仕事なのでしょうか。その内容や仕事を通して“あかり”の力にあらためて気付かされたというイルミネーションイベントや普段の生活であかりを楽しむ方法などご自身の経験をふまえ、お話を伺いました。
あらゆる“あかり”を考える
まず、照明デザイナーという仕事について、お聞きしたいと思います。
具体的にどのようなお仕事なのでしょうか?
照明デザイナーというのは簡単に言えば、あらゆる光と陰の出来事を考える仕事です。「夜に光るもの」という軸があるだけで、いろんなジャンルがかかわります。人の生活や生きがい、喜びなどの感情的なジャンル、例えばイベントの提案などから、防犯や安全性にかかわる設備まで。だから一日のうちでも、さっきまで遊園地の演出を考えていたのに、次は道路整備の路面照度について・・・とか全然違うことを考えてます。レストランやオフィスなどの室内の照明を考えることもありますし、橋やタワーなどのライトアップ、イルミネーションのデザインなんかも照明デザイナーの仕事です。照明だけでなくキャンドルのあかりを提案したりもしています。
2009年度の御堂筋イルミネーションでは、イチョウ並木と建築のそれぞれの魅力をあかりで引き出した
集合住宅の照明デザイン。暮らしに近い場所でのあかりの提案もおこなっている
あかりは日々の暮らしにあらゆる形で関わっていて、街の景色なんかにも大きく影響しています。風景や物の見え方も、あかりを変えるだけでがらっとかわる。蛍光灯と電球、それぞれで顔や物を照らすと、同じものが全然違って見えるんですよ。食卓の話なんかすると良くわかってもらえると思います。普通、家の食卓ではほとんど蛍光灯でしょう?それがレストランではハロゲンランプなどが使われている。美味しく感じるのはあかりのせいかも…なんて(笑)