関西で人気のFM局「FM802」のなかで、人気中の人気DJが、ヒロTこと、ヒロ寺平さん。月曜から金曜まで毎朝6時~11時までの生ワイド番組を担当していることから、朝の声として幅広い年齢層に親しまれています。そんな彼のトークから、アウトドアスポーツや自転車で街を駆け巡る話など、おそとの話題をキャッチ!取材をしたのは、60歳の誕生日まであと2日という日。60歳とは思えないパワフルなヒロTさんのおそとの楽しみ方や日常の楽しみ方の秘訣をお聞きました。
- (文 福田アイ)
60歳手前ではじめたカイトボーディング
アウトドアスポーツがお好きで、小型船舶の免許もお持ちですよね。他にはどんな楽しみ方をされていますか?
川や海という水のあるところが好きなんです。西宮のヨットハーバーが、すっごい好きで。乗りにいくんじゃなくて、見に行くんですけどね。いつか俺だって船を持ってやる!って(笑)。一応、世界中どこでも行ける一級小型船舶の免許は持っています。学生のときおふくろに「免許や免状の部類は、風呂敷に山盛り持っていても荷物になれへんから何でも取り」って言われて。今では小型の1級というのは、取得するのが難しいんですけど、そのころは講習さえ受けたら1級を取れたんです。つまり、僕の免許は、なんちゃって(笑)。資格はあるけど、世界の海を渡ったら遭難する(笑)
僕が最初にやったアウトドアスポーツは、長さ3メートルの一番ベーシックなディンギーというヨット。帆を張って、風を動力に動くヨットです。関西空港ができるまでは、その近くの浜で遊んでいましたよ。浜まで車で行けて、浜でヨットを組み立てて沖に出ることができたんです。今は忙しくなって、行けてないですけど。
その後、今から2、3年前にはじめたのが、カイトボーディング。五畳ぐらいの大きさのカイトで風を受けて、その力で水の上をボードに乗って走ったり飛んだりするんです。おもろいことが好きやからね、なんかおもろいことないかなぁ、と日々探していると、魅力的なものがあった!と思ってね。いやあでも、あのスポーツはエクストリームですよ。風が相手なんで、めちゃくちゃ怖いんです。こっちから吹いていると思った風が、全く違う方向から吹いてくる。ハングライダーのようなすっごくでっかいカイトに風をはらませて、自分の力で立ち上がって。もしそこに別の方向から風が吹いたら、そのまま飛ばされてしまう。そりゃもう、ようやってたなと思うわ。
僕と同じ年齢ぐらいの人たちが、淀川の堤防に車を停めてやってると聞いたんで、そこなら事務所から10分で行けるし、やる!ってはじめたんですよね。なのに、水の上でウェイクボードに乗ってあと少しで立ち上がれるというときに、堤防が駐車禁止になって…。重い荷物を持って行かなあかんから、それが痛手でね。カイトボーディングを本気でやってるおじさんたちは、今日は舞鶴、明日は三重と、みんなでわいわい行くのが大好きやから行くねんけど、僕は仕事があるから無理で。いつのまにか、カイトボーディングから離れてしまって…。けど駐車禁止になってなかったら、今でもやってたよ。アウトドアスポーツは、からだを動かすのが好きな僕にとっては、絶対おもしろいから。
コースを決めずにママチャリでフラフラ
自転車で街を走っておられる話をよく聴きます。ご自身らしい楽しみ方はありますか?
チャリンコは、おもしろさというよりは、健康のために通勤で主に使っています。自転車は、ママチャリ。効率の悪いママチャリの方が、体のこと考えると負荷があるから絶対いいんですよ。というのは僕の持論ですけども。ママチャリ、万万歳。大好きです。かっこいいチャリンコなんて、荷物おかれへんしねえ。通勤というのは、大阪市内の事務所から10キロ南の自宅までで、翌日雨が降らないとなると、車で帰らず、チャリンコで事務所から帰るんですね。夕方は、あちこち物見遊山しながら。NGKの前では、吉本のお笑い芸人が出てけへんかな。日本橋のオタロードではメイドさんたちを見ながら。通天閣やジャンジャン横丁も行ったりしながら、帰るんです。特に僕なりの楽しみというのは、建物を見ることですね。大阪って、大大阪時代の古くからの建物が結構多くて、堺筋沿いは特に多いんですよ。「北浜倶楽部」とか。そんなのを、ぶらぶらと帰るときに見るのが好きやね。どちらかというと、大きな通りじゃない、細い道を走るのが好き。コースは、バラバラ。だから、フッラフラしてるよ。すっごいフラフラしてる。
朝は、3時5分に起きて、4時半ごろに家を出て、で、もう、必死のパッチで、堺筋をぐぅーわーってあがって、30分ぐらいで到着。その時間ってあの堺筋に車が走ってないんですよ!だーれもいない貸切状態。それはそれで、楽しいね。ひとりで、めっちゃゴキゲンよ。
堺筋をあがってくると、ほんと、景色がきれいでね。夏の夜が明けかけているころに通る中之島の辺りは、圧倒的にきれいやね。
音楽を聴かず、まちの音、風の音を楽しむ
おそとで聴くとよい音楽、音楽がおそとにもたらす効果はありますか?
僕は、普段、仕事以外では、ほとんど音楽は聴かないですね。もう、嫌。例えば、お店で音楽が流れていると、まずその曲は、誰誰の何の曲やな、と、そういうことばっかり考えてしまうからね。だから、無音が好き。風の音が好き。街の音もいいですよね。街で自転車乗ってヘッドホン付けてると危険ってのもありますしね。ドライブのときは、ハードディスクのナビにCDを覚えさせてランダムに聴いていますね。180枚ぐらいのアルバムを入れてるんですけど、やっぱり自分の大好きなものばっかり。ポップス、80’s、ザ・ビートルズ、どジャズ、ブルースもあるしね。楽しいですよ。さすがのプロの俺でも、アルバムを全部聴いてなかったりするから、こんな曲あったんやって発見もあるしジャズの後にポップスとか、思いがけない順番でかかったりして面白いよ。
外で聴く音楽と言えば、僕が2000年から企画してはじめた、「ニューブリーズ」という新人ばかりのオムニバスライブを、大阪城野外音楽堂でやってます。新しい音を、新緑の新しい風とともに、というキャッチフレーズなんですが、実はあれ、大物バンドが予定していたライブを突然中止せざるをえなくなって、その穴埋めを託されたイベントなんです。野音があるから、どうする?って考えたときに、野音やったら、って。開催は4月で新緑の季節やから、木の葉が青々と瑞々しく風に揺れていて。新進気鋭のアーティストの奏でる音も、まさに初夏の青葉のようなもの。つまり、フレッシュな音をさらさらと揺れる青葉の下で聴くってのは、最高のシチュエーションですよ、やっぱ。
音楽が外にもたらす効果と言えば、“ミナミホイール”はまちを音楽の力で盛り上げるイベントですね。大阪ミナミのライブハウスなどで、約300組のアーティストが集結するんです。実際イベントをしてる3日間は、街がすごい賑やか。僕のチャリンコも大活躍するんですよね(笑)。すっごい勢いで走り回るし。移動中に気になるお店を発見したりして。特に飲食店が多いかな、隠れ家的なイタリアンとか結構あるよね。開催が晩やから、お店の明かりで際立って見えるんやね。ここもいいな、おいしそうやな、と思うのも、楽しいですよね。
年齢を重ねても老けないという意志で、何にでもトライ。
還暦を迎えられても、アウトドアスポーツや自転車生活などを楽しめる秘訣は何ですか?
僕には、60だから、還暦だから、なんとか、というのはまるでないですね。座右の銘にしてるのが、サミエル・ウルマンさんという人の言葉です。「人間は、年齢を重ねることで老けない。理想を失ったときに、はじめて老いる」。理想という言葉はカッコ良すぎて、誰でもかれでも理想を持っているかというのは、まあ、いろいろあると思うんで、理想じゃなくても、いいとは思うけど。大事なのは、年齢を重ねることで老けるんじゃない、という強い意志があるのか、ないのかですね。みんながよく使う言葉で、「30歳後半になってしまって」ってありますけど、「しまって」と言った瞬間に、絶対にネガティブ。プラス要素どこにもなし。年齢って、年輪みたいなもので、表札でしかないと思うし。なんかおもろいことないかな、といつも思っていたら、それが一番の元気の素やと思います。僕にとっておもしろいことっていうのは、いたずら心を満たしてくれること。なにせ、おもしろいことがあったり、おもしろそうに見えることがあったら、全部やってみる。これからやってみたいことは、大阪の川でできる水上さんぽ。この間そこの大川でやってるのを見てね。そしてやっぱり、かつて楽しんだディンギーも再びやってみたいですね。やれへんかったら、損やと思うからね。
ありがとうございました。