OSOTOについて

『OSOTO』からのごあいさつ

長い間応援していただいた『OSOTO』ですが、2009年4月発行のvol.06をもって、雑誌としては一旦お休みさせていただくこととなりました。『OSOTO』は3年半で、創刊準備号から数えて7号発行してきました。1号1号、みなさまに支えられ、励まされてできた、愛しいものです。愛読いただいたみなさまに、深くお礼申し上げます。ありがとうございました。

そして、この7月からは新しく『OSOTOweb』として生まれ変わります。これまでおそとで色々な出会いがありました。誌面に紹介しきれないほど多くの魅力的な人たちが、おそとで本を読んだり、散歩したり、音楽を奏でたり。そこには出会いがあり、喜びがあり、そして愛がありました。過ごし方に決まりがないおそとだからこそ、その人らしさが見えてくるのでしょうか。輝くたくさんの笑顔が忘れられません。

おそとでそんな素敵な笑顔を、きっとあなたも目にしたことがあるはず。もしかしたら輝いていたのは、あなた自身かもしれません。おそとは、自ら働きかけることによって生まれる、大きな幸せの可能性を秘めています。Webというこれまでにない速度で広がりつづけるツールを使って、さらに『OSOTO』の可能性を広げていきたい。色々な人とおそとの魅力をわかちあえる、そんな場にしていきたいと思います。 『OSOTOweb』をどうぞよろしくお願いします。

『OSOTO』によせる思い

だれでも「おそと」で楽しいひと時を過ごした経験があると思います。それは、子供のとき遊んだことであったり、大切な人と語り合ったことだったりします。散歩したり、木陰でゆっくりくつろいだり、草花を愛でたりしたこともあるでしょう。仲間と集まって汗を流した思い出や、なぜか青空の下で食べたものが美味しかったという記憶であるかもしれません。あげればきりが無いけれど、「おそと」と呼ぶ屋外空間で心地よい時間が流れることがあります。この気持ちを少しずつでいいから共有していきたい。屋外空間の楽しみを小さなことから伝えていきたい。そんな思いを『OSOTO』に託しています。

公園、広場、道、あるいは庭や野山にいたるまで、屋外空間は魅力に満ちています。室内のように具体的な使い方や楽しみ方が決まっているわけではありません。でも、だからこそ多様な関わり方が可能になります。屋外空間では、その楽しみ方を知って、使いこなしていくという感覚が必要となるのです。自らが環境に関わって何かを発見していく。その中で心地よい居場所が見つけられたとき、本当の楽しさが感じられるのだと思います。そう考えると使い方を限定するような、ある意味でおせっかいな施設はいらないのかもしれません。与えられた使い方のメニューに受動的になるのではなく、能動的に働きかけていく人々の姿が魅力的なのだと思います。自然環境を含めて可能性を秘めた屋外空間に身をおき、創意工夫で楽しみ方を増やしていくことが大切なことなのです。

そう思いながらふと周りを見回すと、屋外空間を使いこなす達人とも言える人がいることに気が付きます。巧みなまでに環境を読み取って、自分の居場所を見つけている人達です。「OSOTO」では、このような人々を紹介しながら、屋外空間の魅力を伝えていきたいと考えています。より多くの人が喜びながら室内から外へ出かけていくために。また、人々が使いこなすことによって育まれていく場所のあり方にも目を向けていきたいと思います。それは、人々の活動の痕跡と時間の積み重ねによって生み出される環境です。使いこなす人々と環境が相互に関係を持ちながら成り立つような状況が生み出されることを願っているのです。

自らの判断で行動し、人それぞれに満足のいく成果を生み出し、それを社会の中で共有していく。このプロセスを意識することから、パブリックのあり方やそれを支える大きな要素である屋外空間(オープンスペース)の可能性についても模索したいと思います。自分から環境に働きかけることで得られる楽しみ。それを大切にする人を、「OSOTO」は応援していきたいと思います。楽しみをお互いに分かち合うために、「おそと」で過ごすライフスタイルを提案していきたいと考えています。

OSOTO編集長 忽那裕樹(Kutsuna Hiroki)
2009年7月