エコなエネルギーとして太陽光発電が注目されていますが、太陽の力を利用する方法が他にもあります。
それは「ソーラークッキング」。太陽の恵み、おそとの恵みを存分に味わうことができる調理方法です。火を使わずに、太陽の光だけで本当に調理できるのでしょうか?晴天のりんくう公園でソーラークッキングに挑戦しました。
「ソーラークッキング」を知っていますか?その名のとおり、太陽の光を利用した調理方法です。
太陽光を反射させて一ヶ所に集めると、かなり熱くなります。小学生のとき、理科の実験などで経験したことがある人も多いのでは?この熱だけで調理してしまうのが、ソーラークッキング。ガスも電気も使わない、とてもエコな調理方法です。すぐに安全な水が手に入らない場合でも、太陽光さえあればお湯を沸かして飲むことができるので、実際に難民キャンプで使われることも多いんだとか。調理に使うソーラークッカーは、手作りで簡単に作ることができるものから、本格的な設備を搭載したものまで、いろいろなバリエーションが開発されています。
今回は、手作りバージョンのソーラークッカーを作って実際に調理してみました。必要なのは、卓上コンロの下に敷くような銀色のマットと黒く塗った空き缶、大きめのペットボトル、クリップ、カッター、はさみ、定規だけ。銀色のマットが太陽光を中心部に集め、黒い空き缶の温度がどんどん上がって…本当にそれだけで大丈夫?ちょっぴり不安を感じながらも、さっそく試してみました!
今回は4つのソーラークッカーをつくり、ソーセージ、大小の焼き芋とゆで卵に挑戦。ソーラークッカー自体を作るのは、とっても簡単。カッターとクリップを使えば、10分ほどでできあがり。日当たりのいい場所に設置すると、クッカーの中心部は、光を集めてすぐに熱くなっていきます。30分ほどで缶に入れた水がお湯に。火も電気も使わないのにどんどん水が熱くなっていくのは、とても不思議な体験です。「お湯が沸いてきた!」「ソーセージ焦げてるよ!」とささいなことに、大はしゃぎ。
2時間ほどの奮闘の結果、ソーセージと小さく切った焼き芋はおいしく焼けましたが、大きな焼き芋は少し固い部分が残りました。ゆで卵にしようと思っていた卵は、温泉卵のような茹で上がり。材料によって調理時間や必要な光量が随分違うのかもしれません。また、今回のソーラークッカーは風の影響を受けやすい形だったので、風が吹くとクッカー全体が揺れて中央部に集まった熱を少しずつ逃がしてしまっていたようです。なかなか手ごわいソーラークッカー。風になびかない工夫や、黒く塗った缶の大きさ、上からかぶせるペットボトルのサイズなど、まだまだ改良の余地がありそう。
ソーラークッキングは、調理に時間がかかるし、量も限られますから、今回のような手作りソーラークッカーだけで食事を一式揃えるのは難しいかもしれません。
でも、太陽光で缶が熱くなったり、お湯が沸いたり、ソーセージが焦げたりするたびに感じた新鮮な喜び。青空の下、火を使わないのに調理ができるというのはとても不思議な感動を与えてくれました。
また、長い時間をかけた調理は、待っている間にいろんな会話が楽しめるもの。手をかざして熱を感じ「もう熱くなってきた!」、耳をすませて「ジューって音がしてるよ!」、じっくり観察しながら「こっちはまだちょっと硬いね」なんて、ちょっとしたきっかけではじまる会話もよいものです。
食事をつくるための効率的な調理方法もいいですが、会話を楽しむことができる、エコでスローな調理方法もまた、とても魅力的。
火を使わないソーラークッキングは、のんびり料理することの楽しさを教えてくれます。食欲の秋、おそとでBBQするなら、ぜひ隣でのんびりソーラークッキングを楽しんでみて。
1.ガスコンロなどの下に敷く銀色のマットの中央部に、空き缶の型と、45度くらいの斜めの線を引いておきます。
2.シートを真ん中でカットし、1で描いた空き缶サイズの円を切り抜きます。
3.切り抜いたマットを円錐状に丸めて、パラボラアンテナのような形をつり、クリップで固定します(このとき、1で引いた斜めの線を目安にシートを重ねると楽ちんです)。
4.周囲を黒く塗った空き缶をシート中央の穴が空いた部分に設置し、素材を缶の中にいれ、上から半分に切ったPETボトルをかぶせたら準備完了。
あとはじっくり待つだけです。