日常という枠から外へ飛び出して、積極的な旅をしていますか?自分で計画をして、自分の頭で考えて、人とふれあう積極的な旅は、他人任せの旅よりも、かなり楽しい!そして、より濃い思い出を作ることができます。さらに、その経験からもたらされる日常への良い効果は、積極的な旅の方が断然大きい!つまり、旅は、積極的であればあるほど、自分にじわじわ効いてきます。この醍醐味を知らない人がいたら、もったいない!そこで今回は、3つのパターンで積極的な旅を取り上げて、旅が、どんなふうに自分に効くかをご紹介しましょう。読んだあとに旅をしたくなったら、近くであっても遠くであっても、思いきって飛び出してください。そして、自分の世界を広げていきましょう!
(取材・文/小森利絵 編集/福田アイ)
まずは、すべてにおいて積極的な旅をされているお二人にお話を伺いました。ひとり旅歴が60年になる70代のバックパッカー、木藤(きどう)浩之さん。そして、グーグルアースとフェイスブックを駆使する、かずみみゆきさん。お二人とも旅の目的はコミュニケーション!そして、旅好きな方も圧倒されるほどのユニークな旅を謳歌されています。それぞれの旅からは学ぶことがたくさん。まさに旅のエキスパート!!読めば、120%自分に効く旅ができるようになるかもしれません!
旅のプロフィール
小学生でひとり旅デビュー。中学から大学時代は日本各地へ旅を続け、社会人になってからは海外を旅するバックパッカーに。40回渡航した韓国をはじめ、ミャンマー、ラオス、カンボジア、インドなどのアジアの辺境地を歴史探訪してきた。仕事の視察でヨーロッパへも。定年退職後には長年の夢であった西安から中国の西の果てカシュガルを通るシルクロードの旅を実現!ウズベク共和国やイランなど今後行きたい国は多数。
「定年退職して、歳をとってからのほうが、より自由で、さらに旅が楽しい」と語る木藤さんは、会社員時代でも、年1回は10日程まとめて休みを確保していたというからツワモノ!
旅先は、歴史本を読んで「行きたい!」と思った場所。旅のスタイルは、「楽観的場当たり主義」。大まかな計画は立てますが、ハプニングをも楽しめる自由なのびしろをとっておきます。食事も宿泊も、「そこに人が暮らしている限り、大丈夫!」と断言。
旅の目的であり、大切にしていることは、「言葉の違いを乗り越えたHEART TO HEART、心と心の人々との交流です」。旅の出会いは一期一会だから、それを大切にと、握手も、写真も、ガイドブックさえも、交流のためのツールとしてフル活用。例えば…タクシー運転手にも、店主にも、お坊さんにも、物乞いの人にも握手をしまくる。子どもの写真を撮って、それを見ながらおしゃべり。ガイドブック掲載店では、店主に「載っているよ!」と声をかけ、サインをしてもらう。会話にはいつも家族についての質問を+αして、交流を深めます。
そんな木藤さんだからこそ、日本嫌いの若者と国と国とのことでケンカをしたときも、最後には「おまえは好きだから日本人も好きになる!」と言ってもらえたり、親しくなった若者には、「同年代の父親に会いたい」という一言で自宅へ行かせてもらったり、さらにはそこから仲間の結婚披露宴に誘われ参加もしたり、現地交流レベルの高いエピソードが次々と!このような予測不可能な出会いが、70歳を過ぎた今もなお、旅へとかき立てるのです。
日常の悩みや問題が吹き飛ぶ!
悩んだり落ち込んだりしているときに、「えいやー!」と旅に出て帰ってきたら、スッキリします。旅はいい気分転換!旅先でも、悩みや落ち込みの原因を思い出しますが、砂漠の真ん中にいるときなどは、「なんで、そんな細かいことに悩んでるんや!」「今考えても、仕方ないわ!」と大きな気持ちになれるんです。物理的に渦中から離れることができるので、その問題を客観的に見ることができ、新たなヒントが得られることも結構あります。
どこへ行っても「人類みな兄弟」!
「どこの国も、みんな一緒やなあ!」と実感する場面に出会います。例えば、娘が高校生のとき、勉強をせずにテレビばっかり見ているという話をしたら、たいていの国の親から「我が家も一緒。その通り」という反応が。あとは、「ありがとう」という気持ちを込めて握手をしたら、ニコッと表情がなごんだり。病気のおじいさんの手をさすって話しかけたら、泣いて喜んでもらえたりしたことも。親が子を思う気持ちも、人が人を思う気持ちも、どこへ行っても同じですね。
自分の心がやさしくなっていく!
ひとり旅でも、団体旅行でも、豪華な旅行でも、旅先では道を教えてもらったり、泊まらせてもらったりなど、人の助けや情け、世話を受ける場面にたくさん出会います。日常生活でももちろん、人の世話にはたくさんなっていますが、旅ではそのありがたみを強く実感します。お返しとして「自分には何ができるだろう」「日本でボランティア活動に参加するなどしてお返ししていこう」という気持ちになり、自分の心がやさしくなっていくのを感じますよ。
旅心とは、常に変化を求めること。毎日同じ道を歩くのではなく、たまには違う道を歩くなど、日常でも旅はできます。同じ道を歩いても、道中で「たんぽぽが咲いている」「あそこ、変わったなあ」など新たな発見をすれば、それも旅になります。そのほか、近所の歴史的名所へ出かけて、歴史上の人物と同じところに立ったり、その当時を思い浮かべるだけでも、時空を超えた旅に。そういうふうに、日常のなかでも楽しめる感性を養っておくと、本来の旅に出ても発揮されますよ!
旅のプロフィール
「旅は、生きがい」。旅先で一番したいことは、ボ~ッとしながら、その街に浸ること。約15年前の新婚旅行で飛行機チケットだけをとって、興味のあったイギリスを車で2週間かけて縦断。宿探しなどでの“ちょい苦労”が面白いと、ツアー派から自由旅行派へ。これまでツアーでは韓国やバリなど、自由旅行ではアメリカやハワイ、フランスのほか、最近ではマルタ、シンガポールを訪れている。年3回の海外旅行が目標。
「行きたくない国なんてない。どこへでも行ってみたい!」と好奇心旺盛に旅をするかずみさん。これまでは、くじ引きで旅先を決めるなんてことも。
最近は、インターネット上で見られる地球儀のようなグーグルアースで、ポインタが止まったところを旅先に。そこに住む人とフェイスブックで友だちになってから訪れるという旅がブームです。この方法を閃いたのは、自由旅行を繰り返すなかで、観光客として行ける範囲だけでは面白くなくなり、それ以外の場所を自力で探して訪れるのには限界があるとわかったから。現地に知り合いがいれば情報の信憑性が高いし、穴場スポットに行けるかも!と。それは狙い通りになりました。
かずみさんにとっての旅の一番の目的は、外国人とコミュニケーションをとること。「限られた英語力で話すって、ほどよい会話になるから、ラクだし面白いですよ」と、これまでの旅でもいろんな人に積極的に話しかけてきました。飛行機では客室乗務員、レストランでは接客係に世間話をすることで会話が発展。現地のツアーガイドから個人的に家に招待されるほど仲良くなったこともあります。
そんなかずみさんにとって、先にフェイスブック上で友だちになった外国人に会いに行くのは「家族の写真も見ているのに、会ったことはない。そんな人に遂に会うとなると、わくわくしますよね!」。まだ会ったことがない友だちの数は200名以上。だから、かずみさん曰く、「これから生涯をかけて会いに行く!」
会話を深めると世界が広がる!
友だちになった人からは、「あなたの歴史はどんなの?」「今までのストーリーを教えて」とよく聞かれます。私の英語はたどたどしくて、気合いで話しているかんじですが、自分の人生について話をすると、だんだんと打ち解けていきます。すると相手も「僕は3回も浮気されたことがあるんだ」など親密な話をしてくれる。それだけに帰国するときは、語学を勉強しようと毎回意気込みます。会話ができれば、世界がもっともっと広がると思うから。
知っている場所が増えると嬉しい!
海外で嬉しいのは、“知らない場所にいる”ということです。知らない場所に、普段知っている人と一緒にいる不思議さも。1度行けば、知らない場所が知っている場所になりますよね。そこに2度目に行くのが、さらに楽しみになります。場所は知ってるけど、まわりは知らない人ばっかりという面白さもあります。そういうふうに、海外にちょっと知っている場所が増えていくと、「私、あそこ知っているよ!」と、ちょっと自慢できるのもいいものです。
日本人は、かわいがられる!
これまで日本人のことを好きと言ってもらえることが多々ありました。イギリスの朝食付き民宿B&Bでは、「日本人ならいつでもOK」と大歓迎。台湾では、地図を広げているだけで「何がわからないの?」と尋ねてきてくれて、目的地に連れて行ってくれました。バリの日本人が滅多に訪れない村では、「日本人は珍しい!」とみんな喜んで迎えてくれました。親切な国を選んでいるのかもしれませんが、旅を続けているのは、外国で嫌な思いをしたことがないからかも。
フェイスブックで旅先の友だちを見つけるときに注目していることは、ポジティブな内容や写真を投稿しているかどうか。健全な人と思えたら、友だちリクエストとメッセージを送ります。私自身は自分のことを知ってもらうために、自分や家族、仕事について投稿しているので、お互い共通点を探しながら、交流を深めていきます。現地へウェルカムという人はメッセージのやりとりをしたら、だいたいわかります。「本気で来い!」と言っている人と、「そのうちおいでよ」と中途半端な人、ビジネスライクな人とでは、全然違うものです。なんとなく雰囲気でわかるので、直観力を研ぎ澄まして選びます。
旅は好き。でも、これまで自分で計画をしたり、現地の人とふれあったりする旅をしてこなかった。そんな人は、一度、積極的な旅をしてみませんか?そこで今回は、そんな人のひとり、ライターの小森利絵さんに、旅のスタイルを変革し、自分への効果を探究する1泊2日の旅を計画&実施してもらうことにしました。行き先は、瀬戸内海に浮かぶ香川県の小豆島(しょうどしま)。旅の1日目は完全フリー、2日目は地元の人おすすめの坂手エリアを散策する、ふれあい型観光体験ツアーへ参加というプラン。同行するお友だちは、国内外の旅経験が豊富なFunnyさん。さてさて、小森さんは積極的な旅をすることで、自分への効果はあったのでしょうか。旅日記とともに伝えてもらいました。それでは、「じぶんに効くツアー」のはじまりです!