日常という枠から外へ飛び出して、積極的な旅をしていますか?自分で計画をして、自分の頭で考えて、人とふれあう積極的な旅は、他人任せの旅よりも、かなり楽しい!そして、より濃い思い出を作ることができます。さらに、その経験からもたらされる日常への良い効果は、積極的な旅の方が断然大きい!つまり、旅は、積極的であればあるほど、自分にじわじわ効いてきます。この醍醐味を知らない人がいたら、もったいない!そこで今回は、3つのパターンで積極的な旅を取り上げて、旅が、どんなふうに自分に効くかをご紹介しましょう。読んだあとに旅をしたくなったら、近くであっても遠くであっても、思いきって飛び出してください。そして、自分の世界を広げていきましょう!
(取材・文/小森利絵 編集/福田アイ)
旅は好き。でも、これまで自分で計画をしたり、現地の人とふれあったりする旅をしてこなかった。そんな人は、一度、積極的な旅をしてみませんか?そこで今回は、そんな人のひとり、ライターの小森利絵さんに、旅のスタイルを変革し、自分への効果を探究する1泊2日の旅を計画&実施してもらうことにしました。行き先は、瀬戸内海に浮かぶ香川県の小豆島(しょうどしま)。旅の1日目は完全フリー、2日目は地元の人おすすめの坂手エリアを散策する、ふれあい型観光体験ツアーへ参加というプラン。同行するお友だちは、国内外の旅経験が豊富なFunnyさん。さてさて、小森さんは積極的な旅をすることで、自分への効果はあったのでしょうか。旅日記とともに伝えてもらいました。それでは、「じぶんに効くツアー」のはじまりです!
旅のプロフィール
今回、約10年ぶりの旅となる。学生時代はパックツアーで韓国とサハリンへ。一時期は青春18切符にはまり、友だちと尾道などへ。ひとりで青森・恐山をめざすも、無計画ゆえに秋田で断念するなどの経験も。社会人になってからは、仕事と子育てで旅に出る機会を持てずにいた。
1泊2日の小豆島への旅に出ることが決まったのは、5月に入ったころ。2日目の観光体験ツアー以外は、行き先やルート、スケジュールなどをすべて自分で計画することになりました。これまで旅の経験は少なく、旅をしても無計画・行きあたりばったりであるがゆえに、結局はたどりつけなかったり、行動範囲が狭まったりして旅での出会いや交流の経験も少なかった私が、小豆島観光協会に電話で問い合せたり、途中で早めにバスの時間を調べたり、出会う人に道順を聞きまくったり…。積極的に動いたからこそ、「ここへ行きたい!」と強く思え、希望が叶い、行ったからこその出会いや交流がありました。今回の特集に登場されている旅の達人・木藤さんやかずみさんが旅の効果としてお話しになっていた“やさしくなれる” “世界が広がる”ということは「こういうことなのかもしれない」と、誰かの体験談が自分事になっていくのも新鮮な体験でした。
出発1週間前。ようやく焦り出した私は、旅の達人・木藤さんの旅を参考に、出会いを期待して現地への交通手段と宿だけを決めておくという大まかな計画を立てました。これまで宿泊先は2食付きで予約してばかりでしたが、行動範囲を広げるため、夕食は飲食店へ出向くことに。また、「小豆島と自分との間に接点があるといいなあ」と思いながら、小豆島観光協会のホームページを見ていたら、「二十四の瞳」(※)というワードが!作品名は知っていましたが、読んだことはなかったので、「二十四の瞳映画村」にある文学館で本を購入して旅の思い出にしようと思いました。
そして、6月某日。神戸港から午前11時台のジャンボフェリーで小豆島の南東に位置する坂手港へ。島に着いたらまずは今後の計画を練るため、港近くにある、地域の人たちが運営する案内所へ行き、観光パンフレットやマップを入手しました。
休憩後、改めて案内所の人にいろいろ教えてもらうなかで、地図上では近く見えた二十四の瞳映画村へは、既にバスはなく、車でしか行けないとのこと。ほかを巡ろうと思い直すも、衝撃!小豆島の坂手エリアでは「午後4時閉店がほとんど」「島内は車がないと移動が不便」「港近くの観光地を巡る場合は、徒歩でたいてい片道1時間以上」などが判明。「夜まで観光するぞ」と意気込んでいたのに、この現実。港から最寄りと思っていた宿でさえ、坂道を歩いて30分以上もかかるところでした。それを知って、急遽宿のおじさんに迎えに来てもらい、宿で夕食も食べられるように変更していただきました。
出発前に小豆島観光協会に宿について問い合わせたり、宿には電話予約をしていたのだから、そのときに「はじめていくのですが、島のオススメはありますか?」「午後3時ごろから観光したいのですが、どんなところがありますか?」など用件以外にも具体的に聞いてみることで、話が膨らみ、いろんな情報が得られたかもしれないと反省しました。
夕食まで時間があったので、気を取り直して少しでも小豆島を満喫したい!と改めて観光マップを見てみると、醤油と佃煮の町である坂手には醤油ソフトクリーム、島塩ソフトクリーム、もろみソフトクリーム…とたくさんのソフトクリームが!そこで、宿の近くにある佃煮屋さんへ「佃煮ソフトクリーム」を食べに行くことにしました。でも、やっぱり閉店…。2号店があることを知り、問い合わせると午後5時まで営業中。「ラッキー!」と一瞬思うも、その時すでに4時半…。徒歩で30分ほどかかるとのことで諦めかけたとき、目の前をタクシーが!「小豆島を満喫したい」と思いが強く、気づけば乗っていました。
結局、佃煮ソフトクリームを食べて1日目の観光終了。気づけば、今までのようなグダグダ旅に…。そんなとき、次の日に参加予定の観光体験ツアーのことで電話が入りました。案内人の急な体調不良により、実施できないとのこと!!2日目の観光は体験ツアー頼みだったのが、事態は急変。丸1日の計画を自分で立てることになってしまいました。そこで、観光体験ツアーの内容にできるだけ沿うようにしようと決め、主催する株式会社459の代表・真鍋さんに再び連絡しました。ツアーで予定されていた主な見所は、ヤマロク醤油の醤油蔵見学と絶景が見られるという小豆島霊場八十八ケ所の山岳霊場、一番札所・洞雲山と二番札所・碁石山。でも山岳霊場は私たちでは道がわかりにくく無理かもしれないというお話なので、ルートについては当日用のマップを送ってもらうことにして、スケジュールは届いてから翌朝に決めることにしました。ひとまずお腹を満たし、就寝。そして2日目は、早起きしておさんぽへ。
ところが、マップは朝になっても届かず、焦ります。ヤマロク醤油の醤油蔵見学は、行こうと決めて場所も確認していましたが、山岳霊場へも行きたい。ツアーには含まれていないけれど、せっかくだもの、二十四の瞳映画村にも行きたい。スポットは絞るもルートが決められず、「宿から行くなら何時発のバスがあるのか」「バス停から徒歩でどれくらいの距離か」「山岳霊場は自分たちだけで本当に行けないのか」など、Funnyさんのアドバイスを受けながら、宿のおじさんとおばさんにも聞きまくり、ヤマロク醤油にも電話で問い合わせ。ヤマロク醤油方面へ行くバスが朝9時頃にあると、おじさんに調べていただいて、ようやく午前中にヤマロク醤油、午後から二十四の瞳映画村、最後に行けそうであれば山岳霊場へとルートを決めました。
「いざ、出発!」というタイミングで、真鍋さんから電話。どうやらこちらが連絡先を間違っていたようで…。その後すぐにマップを送って下さいました。
ヤマロク醤油の醤油蔵見学後は、真鍋さんからのマップを参考に周辺を散策。オリーブ畑にあるアート作品『オリーブのリーゼント』にも行ってみることにもしました。すると、ここで運命的な出会いが!!オリーブ畑の持ち主・石井岩男さん、通称“岩ちゃん”がいらっしゃったのです。Funnyさんが「マップに“やさしさのかたまり岩ちゃんに会えるかも”と書かれている方では?」と素晴らしいひらめき。話をしてみると、参加予定だった観光体験ツアーで午後に岩ちゃんと会う予定になっていたそう。出会ったのは昼前。タイミングよく出会えた奇跡!!そこで「洞雲山・碁石山にも行きたいと思っていたのですが…」など話すと、「ツアーの案内人の代わりに連れて行ってあげるよ」とありがたいご提案!!車に乗せていただいたので、道中は旅の達人・木藤さんの交流を深める秘訣「家族についての質問する」を実践。奥さんとの出会い、名前の由来のお話などをうかがい、「また会おう!」と言ってもらえて嬉しかったです。
岩ちゃんには、最後に二十四の瞳映画村行きのバス停まで送ってもらいました。バスを待っていると、途中ですれ違った岩ちゃんの知人・しばたさんが「バスはいつ来るかわからないし。岩ちゃんの知り合いなら」と二十四の瞳映画村まで車で送って下さることに。しばたさんは島の史跡などを研究されていて、「小豆島には洞雲山や碁石山のように観光スポットよりもっと魅力的なところがあるから、そこを巡ってほしい」と。旅の達人・かずみさんが「観光地ではなく、地元の人しか知らないオススメのスポットへ行きたい」と話されていたことを思い出しました。
かなり楽しみにしていた二十四の瞳映画村は、映画のセットを利用したお店が並んでいるという印象で期待したものとは違いましたが、目的の本をゲットできたことには満足しました。
夕方には坂手港へ。この旅を振り返って不思議と思い出すのは「困った!」「どうしよう!」というときに、いろいろ聞きまくったり、助けてもらったりしたこと。小豆島を離れるとき、岩ちゃんやしばたさん、宿のおじさんとおばさんをはじめ、旅で出会ったいろんな人たちの顔が思い浮かびました。
自分次第で可能性は無限大と思えた!
「宿で晩ごはんを済ませてしまったら行動範囲が狭まって、出会いや交流の幅が広がらないかも!」と思い込んでいた私。でも、宿の食堂での食事だったため、同じ宿に泊まっている人と旅の話ができるチャンスがあったし、その方は食後に宿のおばさんやおじさんとも楽しくおしゃべりしていたのが印象的でした。自分さえ積極的になれば、狭い範囲のなかでも、身近な場所でも、様々な広がりがあるかもと思いました。要は自分次第!
やさしさのつながりに自分も仲間入り
旅先では、土地勘がなくて方向がわからなかったり、距離をつかめなかったり…。でも、はじめて出会う人たちに、たくさん親切にしていただきました。道端で地図を広げているだけでも、「どこに行きたいの?」と声をかけてくださった方も。その親切がどれほど嬉しいことか。その方とは一期一会、直接お礼をしたくてもできないし、“自分のまちに訪れた人”として親切にしてくれたので、私もそういう親切ができる人になりたいと思いました。
素直にお願いできるようになれそう!
私は日頃、誰かにお願いをするのが苦手です。「こんなお願いをすると厚かましいかも」とためらってしまい、「自分でなんとかしよう」あるいは「諦めよう」と思いがちでした。しかし、旅先で、移動時間や行き方などを聞きまくったり、港から宿までの迎えをお願いしたりすることで、自分が思うほど、相手にとっては迷惑ではないかもと。親切にしていただいた分、何らかのカタチでお返ししていけたらいいのではと思えました。
日常が見えてくると、さらに世界が広がる!
旅先ではこれまで、朝ごはんの時間まで眠ったりだらだらしがちでしたが、今回は早起きをして、おさんぽへ。それによって、その場所の日常に触れることができました。一見、近寄りがたいと思えた神社も、宿のおじさんが仕事前に「朝のご奉公」として掃除を欠かさずするほど大切な場所だとわかると、「どんな神社だろう?」と関心を持つことができました。非日常といえる旅でも、その土地の日常のひとこまを知れると嬉しいし、それも旅の醍醐味とわかりました。
自分の暮らしを見つめ直す機会にもなった!
日頃は“当たり前”なことを見つめ直す機会がありました。例えば、坂手エリアの名産である醤油蔵の見学へ行ったとき。今まで何気なく使っていた醤油ですが、「醤油は生きているんだよなあ」「菌を育てるように作られているんだよなぁ」と、改めて考える機会となり、一日一日の醤油の成長を想像すると、醤油選びにもっと丁寧になりたいと思いました。佃煮やオリーブもそう。その土地の名産が、どのようにつくられているかに触れることで、日常のなかでも特別な一品になります。
\代表のポン真鍋さん、ありがとうございました!/
株式会社459
「地域おこし」というテーマの元、お野菜事業部、ポン菓子事業部、ギフト事業部、島暮らし事業部など、多彩な切り口で、四国と瀬戸内海の島々の良さを伝え、応援する会社。小豆島では、島内の人たちと触れ合える観光体験ツアーの企画・実施もおこなう。
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