おそとの醍醐味、それは冒険!いつもよりちょっと遠くのおそとで未知の世界との出会いを求めて、初夏の無人島日帰り旅に出かけてきました。
冒険の地は、大阪市内から車で2時間ほどの和歌山県友ヶ島。和歌山市加太港から船で20分ほどの無人島です。無人島と言っても、年間を通しての定住者がいないというだけで、宿泊施設があり、冒険初心者にとっては安心なところ。
当日は夕方から雨が降るという予報のため、朝から少し曇り気味でしたが、冒険には予測不可能な事態が付き物、天気に負けてはいられません。白波と遠ざかる港を眺めながら、「さようなら本州、いざ友ヶ島へ!」と気分はすっかり冒険者です。短い船旅の終わりに船は大きく旋回し、島の裏側にある桟橋へ。たどり着いたのは、豊かな緑に覆われた美しい島でした。
桟橋の向こうには、緑の島。いよいよ冒険のはじまりです
今回4名の挑戦者に与えられたミッションは3つ。火をおこして食事をつくること、ロープワークを学ぶこと、そして島を探検すること。まずひとつ目のミッションを完遂すべく向かったのは、南垂水キャンプ場。ここでは、昼食を作るためヒモギリ式火おこしを使って火おこしに挑戦します。
ヒモギリ式火おこしというのは、火きり棒をひとりが支え、もうひとりが棒にまきつけた紐を動かし棒をまわすもの。簡単そうに見えますが、実はコツを掴むのが難しいのです。やっと煙がでたと思ったら、火種から“火”にするのにまた一苦労…。「毎食こんな風に火を起こしていたのかな?いつごろまでこんな方法で?」と想像以上の大変さに、火のありがたさをしみじみと噛みしめます。結局火種はできたものの、上手く火にすることができず、念のためにと持ってきたマッチで、泣く泣く炭に火を着けることになりました。
食事は手間や燃料の消費を考慮して、“簡単においしく!”というのがテーマです。準備したのは、和えるだけのパスタソースとパスタ、お湯を注ぐだけでできるカレー、無洗米。手軽で、荷物も少なくて済むので、アウトドアを楽しみたいけど食事の準備とか大変だし・・・というときにもおすすめのメニューです。
2つめのミッションは、ロープワーク。ただ練習するだけではつまらないので、ハンモックを吊るすことを目標にしました。挑戦したのは、ボーライン・ノット(もやい結び)という結び方。テントやタープを張るときにも使えるので、覚えておくと便利なロープワークです。少し練習したあと、実際に海の見える木陰にハンモックを吊るしてみました。こわごわ腰掛けてみると、その寝心地に「わ、これ楽しい、気持ちいい!」と感激。楽しみながらロープワークを学ぶことができて、任務完了です。
何度も結びなおして吊るしたハンモックは、想像以上に快適な寝心地
最後のミッションは島内探検。友ヶ島は明治時代に旧日本軍によって砲台が造られ、第二次世界大戦まで要塞だったという歴史があります。そのころの建造物が今も残っていて、まるで映画のワンシーンのような探検ができるのです。
切り立った石垣を抜けると、レンガ造りの将校宿舎が残っています
目指すは島で一番高い位置にあるコウノ巣山展望台。しばらく山道を登ると、所々剥げ落ちたレンガ造りの重厚な建造物が現れます。地下のトンネルに進むと、真っ暗な闇。所々脇にそれる道があり、トンネルの奥には部屋や階段があります。光の射す方へ出てみれば、木の根が行く手を阻んでそれ以上進めなかったり、外に出られても、どこに出たのかわからなくなったり、まるで迷路です。暗い階段を登ってようやく見つけたのが第3砲台跡。緑に覆われていて、昔、この場所にたくさんの兵隊さんがいて人の気配に溢れていたのかと思うと不思議な感覚におちいります。最終目的地のコウノ巣山展望台にたどりつくと、海の向こうに淡路島が見え、さっきまで通ってきた廃墟の数々が夢のなかの出来事のよう。充実の島内探検でした。
砲台跡は緑に覆われ、今は静かに沈黙しています
コウノ巣山展望台に立つと、時間旅行をしてきたような気分に
普段できないことに挑戦したり、新しいことを学んでみたり、探検したり。おそとの可能性は無限大だと改めて実感できた冒険の旅、いかがでしたか?想像するより難しいこともありますが、それを上回るドキドキに出会えるのが冒険です。夏は冒険にピッタリの季節。この夏、あなたもいつもと違う冒険の旅に出かけてみませんか?
友ヶ島へは、加太港から往復2000円の観光船がでています。
運行情報や時刻表は、こちらのHPでご確認ください。