vol.08 おそとがアート心を刺激する!

あなたのそばにある感動

「今日はアートな気分」という日、あなたはどこへお出かけしますか?美術館?ギャラリー?それとも展覧会?その選択肢のなかに、ぜひ“おそと”を入れてみませんか?OSOTOは、“おそと”こそがアートを感じる場だと思うのです。


其之一 体感するアート

おそとで楽しむアートの第一歩、まずは屋外展示のある美術館へ行ってみましょう。「屋外美術館」や「野外美術館」という名前がつけられているところが多く、屋外に彫刻などの作品が展示されています。ここでは、太陽の光を浴びながら、お散歩気分でアートに浸ることができるのです。木立に囲まれて自然と一体となってたたずむ作品や、大規模な作品など、おそとならではの良さを活かしたアートを楽しみたいもの。作品に触れることができない美術館もあるので注意が必要ですが、作品の上を歩いたり座ったりすることで、今まで見えていた風景を一変させるものや、風で回る作品など「動き」を活かしたものもあるので、いろいろな角度から眺めてみてください。

『螺旋の水路』ダニ・カラヴァン 室生山上公園芸術の森

『螺旋の水路』ダニ・カラヴァン/
室生山上公園芸術の森

あなたこそアート You Are the Art 崔正化(チェ・ジョンファ)霧島アートの森

『浮かぶ彫刻・札幌』マルタ・パン /
札幌芸術の森

『あなたこそアート<You Are the Art>』
崔正化(チェ・ジョンファ)/
霧島アートの森

札幌市南区芸術の森2丁目75
Tel 011-592-5111
Open 9:45~17:00(6/1~8/31は17:30まで)
休園日 4/29~11/3無休、11/4~4/28
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
12/29〜1/3(野外美術館は11/4〜4/28まで冬期休館)
料金 大人700円、65歳以上560円、中学生以下無料 団体割引あり

奈良県宇陀市室生181番地
Tel 0745-93-4730
Open 4月~10月10:00~17:00
      3月・11月・12月 10:00~16:00 (※入園は閉園時間の30分前まで)
休園日毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~2月末日(天候による臨時休園あり)
料金 大人400円、高校生200円、中学生以下無料

鹿児島県姶良郡湧水町木場6340番地220
Tel 0995-74-5945
Open 9:00~17:00 (7/20〜8/31の土・日・祝日は19:00まで ※入園は閉園時間の30分前まで)
休園 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~1/2、2月の第3月曜日~第4月曜日
料金 一般300円、高・大学生200円、小・中学生150円、幼児無料 団体割引あり

其之二 暮らしとアート

さて、おそとで見るアートを堪能したら、次は芸術祭に行ってみましょう。芸術祭とは、何年かに1度、期間限定でおこなわれる現代アートの祭典です。なかでも、3年に1度新潟県越後妻有地域(十日町市・津南町)で開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や瀬戸内海の島々を舞台に昨年開催された「瀬戸内国際芸術祭2010」など、地方で開催される芸術祭は、豊かな自然環境をふんだんに活かしたプログラムで、国内外から多くの人を集めています。ここで注目したいのは、“暮らし”という視点。棚田や路地、廃校など、人の気配を感じる空間に作品を展示していたり、地元の人が作品案内をしてくれたり、作品のすぐそばで農作業をしていたりと“暮らし”に近いところでアートが展開されています。作品は、彫刻・オブジェ・陶芸・音・演劇・建築など多岐に渡り、人が情熱をもって作り出す物・現象・行為の全てが作品となっています。
そんな芸術祭を存分に堪能したいなら、地元の方によるガイドツアーやワークショップ、地域の文化を知るイベントに参加して、地元の方との交流も積極的に楽しんでみて。ここでのアートは、人と自然を近づけるだけでなく、人と人を繋ぐもの。アーティストや地元の方と交流することで、アートのある“暮らし”の豊かさに気付くはず。抜群のロケーションのなか、アートから世界をどんどん広げましょう。
継続的に展示されているアートもあるので、自然や地元の方との対話をより落ち着いて楽しむことを目的にするなら、会期後に訪れるのもいいかもしれませんね。

2000年より4回の「大地の芸術祭」開催を経て、約200点の作品を会期以外にも楽しむことができます。『越後松之山「森の学校」キョロロ』は年間を通じて開館、『再構築』、『リバース・シティ』は4月末日~10月末まで公開(冬季は雪のため非公開)しています。そのほかの作品の公開状況は、ホームページで確認ください。

『越後松之山「森の学校」キョロロ』手塚貴晴+手塚由比 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003 『再構築』行武治美 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006

『越後松之山「森の学校」キョロロ』
手塚貴晴+手塚由比/
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003
photo by S.Anzai

『再構築』行武治美/
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006
photo by Masanori Ikeda

『リバース・シティ』 パスカル・マルティン・タイユー 大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009

『リバース・シティ』
パスカル・マルティン・タイユー
大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009
photo by Takenori Miyamoto + Hiromi Seno

20世紀の回想 禿鷹墳上 瀬戸内国際芸術祭2010 オルガン 谷口智子 瀬戸内国際芸術祭2010

『20世紀の回想』
禿鷹墳上
瀬戸内国際芸術祭2010
photo by 中村 修

『オルガン』
谷口智子
瀬戸内国際芸術祭2010
photo by 中村 修

其之三 大地のアート

最後に紹介したいのは、ランドアートと呼ばれるアート。自然そのものや光・風・雷などの自然現象をアートにしたもので、“おそと”自体をアートとしたものです。
日本で代表的なのは、イサム・ノグチがデザインした『モエレ沼公園』。彫刻家であるイサム・ノグチは、モエレ沼公園で大地を彫刻したといわれています。“未来を担う子どもたちに捧げられたひとつのアート作品”それが『モエレ沼公園』なのです。
まるで地の底から押し上げられるように大地が盛り上がった『モエレ山』。波打ったり、25mもある水柱があがったりと様々な水の様相を見せてくれる『海の噴水』。等間隔に植えられたカラマツから洩れる木漏れ日と、木々の陰・・・。自然が単純化され、人工的な造形美を纏うことで風景の美しさを際立たせています。公園の自然を活かした造形物はいずれもシンプルな形状でありながら、エネルギーを感じさせるものばかり。そのエネルギーを感じたら、斜面を駆け上がったり、水面に手を伸ばしたり、木に抱きついたりと、誰もが童心に返って遊んでしまう。そんな不思議な力をランドアートに感じます。

このような場所がどこにでもあるわけではありませんし、造れるというわけではありません。でも、むきだしの土の大地を踏みしめたとき、太陽が木立の向こうへ沈むとき、つむじ風が花びらを舞い上げるとき、その風景に感動を覚えることがあるはず。扉を開ければ、そこに広がるのは“おそと”という広大なキャンバス。感動は、日々の“おそと”に潜んでいるのです。

カラマツ林の向こうに『モエレ山』を望む 空との対比が美しい『プレイマウンテン』

カラマツ林の向こうに『モエレ山』を望む

青空との対比が美しい『プレイマウンテン』

迫力満点『海の噴水』 木洩れ日が眩しい、カラマツの木立

迫力満点『海の噴水』

木洩れ日が眩しい、カラマツの木立

札幌市東区モエレ沼公園1-1
Tel 011-790-1231
Open 7:00~22:00(入園21:00まで)


  • おそとがアート心を刺激する!

誰もが子どものころから持っているはずのアートの心。それを芽生えさせるお手伝いをOSOTOは考えました。それは、おそとにある枝や花、落ち葉、どんぐりなどでモビールを作る教室を開催するというもの。アートの心を刺激する、簡単で、とっても楽しい方法を紹介します!

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  • 開放的なおそとで、みんなでつくって楽しむアート

“アート”は見る、聞く、触れるなど様々な楽しみ方があります。そんなアートをおそとで展示することで、新しいアートとの新しい関わりを発信しているアーティストの吉田マリモさん。“アートと人との関わりをテーマに作品をつくり続けている”という吉田さんにとってのアートと夢の空間についてお話を伺いました。

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