コミュニティサイクルで豊かな未来!?

コミュニティサイクルで豊かな未来!?

近ごろ、豊かさの基準を見直す人が増えています。そこで、新しい仕組みを生み出すための多くの実験がおこなわれています。そのひとつが、コミュニティサイクル。日本でも世界でも注目の仕組みです。さてさて、コミュニティサイクルは、私たちの生活を豊かにするのでしょうか?みなさんも、いっしょに考えてみましょう!


Q.コミュニティサイクルって何?
A.どこで借りても、どこへ返してもOK。便利で新しい交通手段です。

コミュニティサイクルは、従来のレンタサイクルとは異なる仕組みで成り立つ、新しい交通手段です。まちに点在しているポート(貸出・返却場所)から、貸出と返却場所をそれぞれ自由に選べるのが特徴。そのため、自分の行きたい場所へ無駄なくスムーズに移動することが可能です。(※下記「HOW TOコミュニティサイクル」をご参照ください)
コミュニティサイクルのはじまりは西ヨーロッパから。街の中心部の渋滞緩和や車の排気ガスによる環境汚染を減らすため、自転車の利用を増やすことが目的でした。今では、2007年にスタートしたパリの「ヴェリブ」をお手本にする都市が増え、この仕組みが世界中に拡大しつつあります。日本では地域の活性化も目的に、平成22年度には15都市で社会実験がおこなわれました。現在は下記で紹介している大阪府堺市の「さかいコミュニティサイクル」、北海道札幌市の「ポロクル」など数都市が導入を実現。導入へ向けての動きを加速させる都市も増加中。貸出や管理をする上で、ICカードやケータイなどのIT技術を使う場合が多く、今だからこそ実現できる交通手段とも言えます。目的地までの所要時間が短くなり、行動範囲が広がり、立ち寄るお店が増えるなど、とても便利という声が多く聞かれます。

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パリの「ヴェリブ」は、750ケ所のポートと1万台の自転車で開始。魅力のひとつは、最初の30分が無料であること。利用者自身で貸出・返却が可能な、24時間無休のシステムです

how to

まずはネット等で会員登録。その後、好きなポートへ。貸出返却機で貸し出し手続きをしたら、ルールやマナーを守って、行きたい場所へ自由に走行。返却は、貸出と同じポートでも別のポートでもOK。
※適合しない場合もあります。

2010年9月にスタートした行政主導のコミュニティサイクルです。堺市内の主要な4駅付近を中心に6ポートを設置。過度な自動車利用からの転換を第一の目的としており、料金がお得な3ケ月までの定期利用を設けるなど、市民の通勤・通学に便利なサービスを提供しています。

「移動を変えるとジブンが変わる!?」をキャッチフレーズとして、2011年4月に民間企業が運営開始。ポートの設置場所は、駅、ホテル、観光地付近をはじめ45ケ所。会員で自転車を“シェア”(=共有)するという感覚を根付かせ、スマートなサイクリストの増加を目指しています。

Q.大阪市内で導入される予定はありますか?
A.NPO法人が運営する「COIDECO(コイデコ)」の社会実験中です。

「COIDECO(コイデコ)」は、2011年より“水都大阪フェス”の期間に合わせて大阪市内で社会実験をおこなっているコミュニティサイクルです。運営の主体は、“まちのオープンスペースの魅力をあげて、都市の魅力をあげていこう”と活動している
「NPO法人パブリックスタイル研究所」。そこで、担当の松下岳生さんにCOIDECOの目的を聞きました。「大阪は、大阪市内のほとんどが平地で、仕事のちょっとしたお使いなどは自転車が便利なのですが、駐輪場も限られていて…。だからこそコミュニティサイクルが適していますし、ニーズもすごく高いと思います。また府内には、世界でも名高い自転車関連の企業がたくさんあり、まちの個性としても考えられます。これだけ条件がそろっているのに、導入しないのはもったいないですよね。また、小さな空き地などにポートを設置することで、土地の有効利用のチャンスが生まれるかも…ということから社会実験をはじめました。COIDECOは、民間の組織が、行政の力なしで実験をおこなっているのも特徴です。商売に不可欠といわれる三方よしの理念『COIDECOよし、民間企業よし、利用者よし』を大切に、小規模でも実験をはじめて本格的な導入を早く実現させたいと願っています。そのためには企業の協賛が必要ですし、利用していただける方々には使うことで利便性の高さを体感していただきたいですね」。

COIDECOによる2011年の社会実験の期間は9日間。ポート数は6ケ所、自転車数は30台でした。今年はさらなる協賛を募った結果、ポート数は私鉄やレンタカー会社などの協賛を得て16ケ所に。自転車は東大阪市にある自転車メーカーの協賛により
ドッペルギャンガー社製の7タイプを80台用意。知名度がアップしたこともあり、実験期間は昨年より20日増えた約1ケ月、利用者は1000人にも登りました。コミュニティサイクルの実験としては、本格実施への手ごたえを大いに感じる人数に。今後はポートと自転車の数、実験期間の日数を増やし、ケータイやスマホをフルに使った仕組みづくりを整え、24時間稼働を目指すとのこと。さらには自転車のマナー向上や違法駐輪対策への貢献にも努め、まち全体の自転車環境をよくすることにも意欲的です。

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利用者の声

●家族と楽しみたくて西区の喫茶店と北区のイベントへ。大阪市内を自転車でぶらぶらしたことで、通ったことのない道やいろんなお店などの発見があった。(守口市在住・40代・女性)
●コストパフォーマンス大丈夫ですか?自分の自転車がよく盗難にあい、駐禁で撤去されることも。このプロジェクトが本格化したら利用したいです。ママチャリのタイプの用意もお願いします。(大阪市在住・50代・女性)
●地下鉄の発達のため、普段は不便がないように思えたが、自転車でのゆったりとした移動で見える景色が普段と違って見えた。(大阪市在住・20代・男性)
●出張で大阪都心に年6回程度来るのだが、今回の利用で、利便性はもちろん、細かい移動をしたことによって発見(景色・お店)ができてよかったです。利用時間がもう少し長いとありがたい。(所沢市在住・20代・男性)
●これまでの大阪のイメージはグリコの看板、道頓堀のイメージしかなかったが、御堂筋や堺筋を通ることでビジネス街のような所もあるということを知った。(川西市在住・20代・女性)
●ゴミゴミしていて走りにくそうで危険な印象だったけれど、意外と大丈夫。道が自転車用に整備されれば歩行者も自転車も車も快適。コイデコの案はすてき。(大阪市在住・30代・女性)

Q.コミュニティサイクルで、まちは豊かになる?生活は豊かになる?

コミュニティサイクルは、交通やまちづくりの課題を解決するためのひとつの手段であることを国土交通省も提言しています。世界的にみても、交通の課題は車の数の多さ。そのため、まちのなかから車を減らして歩道や広場を作っていく動きがあります。まちに歩道や広場が増えると、人が集える状況がつくりやすくなります。現在、インターネットが普及するなどで、個人を重視した生活がかなり進んでいます。だからこそ、人と直接触れられる場所が必要であると多くの人が感じているのではないでしょうか?誰もが気軽に集まることができるまちで暮らせると、地域は活性し、産業の発展へとつながり、多くの課題も解決へと導かれるのでは?ひいては、ひとりひとりの幸せへとつながるのではないでしょうか?コミュニティサイクルは、雨の日に利用できなかったり、子どもやお年寄りが乗れないことが多かったりと万能とは言えませんが、前述のような課題を解決でき、これからのまちの魅力づくりに大きく関わる取り組みだろうという声があるのは確かです。
あなたはコミュニティサイクルが、まちを豊かにすると思いますか?私たちの生活を豊かにすると思いますか?ぜひ一度利用して、みなさんひとりひとりの答えを出してみてください。


  • いつもの街から抜け出して非日常を体感しよう

日常生活では身近すぎて、あまり意識して考えることのない自転車ですが、実は活用すればするほど私たちの人生をより豊かで、深いものにしてくれるツールだということをご存知でしょうか? 競技用からママチャリまで、今や自転車は人々の生活スタイルに合わせて、種類が豊富です。お金もかからず、気軽に近場でも、遠方でも、自分の脚で、いろいろな場所に訪れることを可能にしてくれるものもあります。いつもの街から抜け出して、全く違う雰囲気の土地を隅から隅まで散策できるのも魅力です。では自転車で、どんな非日常を体験できるのでしょう?今回は、大阪市大正区を訪れてみました。

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「日本人サイズの日本製」にこだわり、ハンドメイドで自転車を作り続けているEngineered Bike Service(E.B.S)の代表・小林宏治さん。大阪で唯一E.B.Sの自転車を販売している西区土佐堀のショップ「velo life UNPEU(ベロライフアンプ)」には、スマートでありながら個性的なフォルムの自転車たちが並んでいます。交通手段としてだけじゃない、ちょっと素敵な自転車のお話です。

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