vol.07 - あかりが灯ると ときめく心

苦楽園口・夙川キャンドルナイト“光の散歩道”~“あかり”のようにあたたかい想いで街を変える~

夏至と冬至をはさんだ期間、兵庫県西宮市の苦楽園と夙川で開催されている『苦楽園口・夙川キャンドルナイト“光の散歩道”』。このイベントは、自分たちが暮らす街へのあたたかい想いをかかげてスタートし、少しずつ広がりをみせています。その想いとは、内容とは、成果とは、2010年冬のイベントがはじまる少し前に、主催者の多喜淳さんにお話しを聞きました。


住民も大学も銀行も、市も参加へ

“キャンドルのあかりのあたたかさにふれて、ほんの少し、自然や平和のこと、大切な何かを考えるきっかけがうまれたら。そして、いつまでも輝きのある街であることを願って”。こんな想いを掲げ、地域のお店が中心となり、『苦楽園口・夙川キャンドルナイト“光の散歩道”』は2009年にはじまりました。
地域のお店が夕暮れからキャンドルを灯し、街の人々を迎えます。2010年の冬はキャンドルだけでなく、子どもたちが描いた灯篭も登場します。目玉は、銀行の駐車スペースに飾ることになっている「光のクリスマスツリー」。今回は西宮市から助成金が出たので、ツリーに吊るすキャンドルの数を増やし、より一層輝きを増す予定だそう。夙川の大手前大学も参加して、大手前アートセンターでキャンドルを灯すことが決まるなど、徐々にその輪が広がっています。
そして今年は更にその輪を広げる試みにも挑戦。「お店以外の人も参加できるような仕組みを作ろうとしています。チラシに『一緒にやりませんか?』と記したり、キャンドルの販売もしたりして、自分たちの家でキャンドルナイトをしてもらえたらと願っています」とは、主催者であり、「galerie6c」のオーナーであり、グラフィックデザイナーの多喜淳さん。

綺麗な光でまちを元気にしたい

ここでいう“キャンドルナイト”とは、2003年に日本でスタートした『100万人のキャンドルナイト』というムーブメント(運動)のこと。“夏至と冬至の夜8時から10時までの2時間、みんなで一斉に電気を消しませんか?”という呼びかけをおこなっています。“電気を消して、環境のことや平和のこと、恋人とのすてきな時間など様々な思いに気持ちをはせて、スローな夜を過ごそう”というもので、誰でも気軽に参加できるのが特徴です。報告書によると、2009年の夏至に、この呼びかけに答えて開催した国内外のイベントの数は、752。そのひとつが、『苦楽園口・夙川キャンドルナイト“光の散歩道”』です。
「最初は、うちのギャラリーで教室を開いてくれているキャンドル作家さんと、キャンドルナイトっていいですよね、という軽いノリからはじまったんですけどね(笑)」と多喜さん。そのノリによって、元々持っていた想いが沸点に達し、開催へと拍車がかかったのだそう。というのも、「ここのところ街に少し元気がない。だから元気になるような仕掛けができたらな、みんなが街を盛り上げられたらな」と思っていたから。
「キャンドルの綺麗な光に誘われて、多くの人が街を歩いてくれたら」という、あかりのようにあたたかい多喜さんの想いは、知り合いのお店から、そのまた知り合いのお店へと届き、2010年の冬至には55店舗が賛同して光の道をつくりあげることになっています。そして、「お店の人だけでなく、この街に住むみんなが街の一員としてキャンドルナイトに参加してくれるようになれば」と、新たな広がりにも期待していると言います。
ひとりひとりが自分の街に関わり、思い出を増やすことで、街に活気を取り戻す。そのための一歩は、既に踏み出されているようです。

つながりが生まれていることを実感

「このイベントは、内容的にも、爆発的にドカーンと来るものではないので、じわじわと広まって、話題になって、他の街からも人が来てくれて、ということにちょっとずつ結びついてくれたらいいかなと思っています。それには続けていくことが大事ですよね」と多喜さん。実際『苦楽園口・夙川キャンドルナイト“光の散歩道”』をはじめてから、参加店同士のつながりができ、少しずつ活気が出てきていることは実感しているとのこと。「今までは、何かを一緒にするといった横のつながりがなかったんです。キャンドルナイトをきっかけに、互いに相談することができるようになり、なかには協力しあって商品を生み出した人たちも出てきています。『EN』という街を楽しむ新聞も作りましたしね。これらは、キャンドルナイトがきっかけになっていることは確かだと思います」と活動の効果を話してくれました。

街を良くしたいという想いを自ら行動に移し、欲張らず、続けていく。そこに、あかりのようにあたたかい想いを込め、少しずつ仲間を増やし、活気ある素敵な街へと実を結ぼうとしている。そんな『苦楽園口・夙川キャンドルナイト“光の散歩道”』は、実現したい想いを持つ人にとっての、理想の灯火と言えるかもしれません。

開催期間
毎年夏至と冬至の時期 夕暮れより
問い合わせ
苦楽園口・夙川キャンドルナイト実行委員会
0798-61-6131(gaerie6c内)


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