建物の一部でありながらおそとを感じることができる屋上は、気持ちのいい風を感じたり、そらを眺めたいと感じたときにふらっと行ける身近なおそと。そんな “屋上”の魅力を伝えているのがフリーペーパー『屋上とそらfree』。今回は、発行人の堀江さんに、屋上の魅力や取材で出会った屋上の使いこなし方についてお話を伺いました。
屋上はそらに近くて、地上から離れたプライベート性の高いおそと。広さも様々なら、何にもない空間だったり、遊園地があったり、庭園になっていたりと使われ方も様々。「幼いころに家族で行ったデパートの屋上にある遊園地が一番の思い出。屋上は楽しくて夢を与えてくれるところだと思っています」と、日本全国の屋上を巡っている堀江さん。
堀江さんが“屋上”に行く目的は様々で、読書やランチ、ビールで晩酌、ピクニックなどなど…。と、ここまでは誰もが思いつきそうなことですが、それ以上に堀江さんの使いこなしは日常となっていて、わざわざ電話をかけるためにお気に入りの屋上に行くなど、何気ないことのなかから何か1つ目的を作って行くことが多いとか。
普段部屋でおこなうことを、堀江さんのようにおそとに持ち出してみては?風を感じながら、下界から聞こえる様々な音、木々の緑などの自然を感じながらおこなうと、また違った感覚が得られそう。事前準備が必要なものではなく、日常のちょっとしたことを、屋上や公園などお気に入りのおそとに出かけてやってみる。おそと初心者さんも気軽に試すことができる、とてもいいおとその使いこなしではないでしょうか?
松坂屋 銀座店
松屋浅草
日本橋三越本店
大沼国定公園近くの土産店
堀江さんが巡ってきた屋上をぎゅっと詰めこんでできたのが、屋上の本『屋上とそら』。そして現在は、フリーペーパー『屋上とそらfree』を隔月で発行されています。「この『屋上とそら』を通して私の知らなかった屋上に出会え、また、その空間を使って様々な取り組みをしている人たちにも出会えました」と、益々屋上の魅力にどっぷりはまり込んでいる様子の堀江さん。
今回お聞きした使いこなしで特に印象的だったものは、お茶会。これは、“茶番組合(CHABAN-Guild)”というパフォーマンスアート集団が、岐阜のビル屋上に「都市型漂流茶室 接宙庵(せっちゅうあん)」という茶室を運び、お茶会を開くというもの。彼らは独創的な形の茶室を自分たちで作成し、様々な場所へ持って行ってお茶会を開催しているとか。写真は岐阜市にある繁華街の屋上でおこなわれたもの。日常のなかで非日常の空間や時間を楽しむ“茶の湯”の世界は、現代では屋上にこそふさわしいかもしれません。
そして、「なるほど!」と思ったものが、屋上の床をキャンバス替わりにした『常滑クラフトフェスタ2011~遊びの楽園~』の“屋上とそらのお絵描き帳”。広々としたキャンバス(床面)に自由にライブペインティングをするのですが、そらに近い屋上なだけに、ダイナミックでとても楽しそう。
また、堀江さん自身も、今年6月に『屋上とそらと小箱展』を開催。これは、自分たちの“心のなかにある屋上の姿”を形にしたものを、一般の人たちに応募してもらい展示したイベント。
「みんなが想っている屋上を形にしたら、いろんな形がでてきて楽しいものになるんじゃないか?」と、そんな思いつきからスタート。思い出や理想が詰まった、こだわりが伝わってくる素敵な作品がたくさん集まったそうです。
「今年はできませんでしたが、屋上に映画館があるデパートがあって、そこを借りて映画祭をおこなうなど、今後はイベントをどんどんやっていきたいと思っています」と堀江さん。屋上は身近なおそとであって、思い出のなかでも身近な存在。堀江さんのお話を聞いて、幼いころ家族でお弁当を持ってデパートの屋上に出かけ、ピクニックをしたり、地上とは違う雰囲気を楽しんだりしていたことを思い出しました。とても懐かしい幸せな時間を…。
『屋上ひろば』
コンセプトは、みんなで集まるいこいの場所。緑のあふれるリラックスできる場所となっている
『カミオリ』
久しぶりの折り紙で懐かしい屋上遊園地を再現した、思い出が詰まった作品
今回、屋上というとても身近なおそとの魅力を知ることができました。屋上にはそこにしかない魅力があり、様々なコミュニティも広がっていました。
あなたの身近に屋上というおそとがあるのなら、いつもより多く階段を上がってその扉を開いてみて。新鮮なのに懐かしいおそとがそこに広がっていて、その魅力に取り込まれてしまうかも。
『屋上とそらfree』
堀江さんが出会った屋上の数々を紹介するフリーペーパー。全国の書店などで絶賛配布中。更に屋上写真が充実した『屋上とそら』は、HP『屋上とそらと屋上空』で購入できます(¥1,000+送料)。