本当はおそとへ出かけたいんですが・・・ね

こんにちは。
正直、最近全くおそとへ出かけていないので、
OSOTOをクビになるんじゃないかとびくびくしています。

唯一おそとに出るのは通勤のときぐらいでしょうか。
毎日バスも含め、往復で約2時間。
その間、もっぱら読書していますが・・・。
って、全然おそとを楽しんでいない???
まあせっかくなので、久々に本の紹介をさせてくださいな。
おそとを感じる本ばかりですから。
(と、強引に話をもっていく)

昔から何冊かを同時進行で読む癖があり、
(右手と左手に違う本を持って読んでいる・・・
という意味ではありません。念のため)
出かける際に、今日はどれにしようかと選ぶのですが、
それは気分・天気・急ぎ具合などで変わります。

今読んでいるのは、この3冊。
『その街の今は』柴崎友香著
『水辺にて』梨木香歩著
『陰りゆく楽園-外来種vs.在来種の攻防をたどる』
              アラン・バーディック著 伊藤和子訳

『その街の今は』は、
カフェでバイトをしている歌ちゃんの日常を描いたお話。
歌ちゃんは、古い大阪の街の写真を集めています。
ときには写真だけではなく、昔の大阪を知る人との出会いがあったり、
かわりゆく街と、そこに生きる今の若者との対比を面白く読んでいます。

私も”長堀通り”が堀川だったときや
“心斎橋”が本当に橋だったときの様子を見てみたいな、
写真探してみようかな、なんて。
古い写真を片手に街を散策するのも楽しそう、と思いながら読んでいます。
これ空気のピーンと張った、寒い晴れた日に読みたくなります。

『水辺にて』は、エッセイ。
著者がカヤックで漕ぎ出した、
海外や日本の水辺についてのお話。
ちょうどダム湖についての項を読んだところです。

その項で著者は、資料館でダムの下に沈んだ街の様子を知り、
街の地図をなぞるかのように、水面を移動する。
すると、目の前に現れるかつての子どもたち。
もちろんそれは著者の想像なのですが、
ものすごく生き生きと描かれているので、
自分がその水面にただよっているように感じられることもしばしば。

梨木さんのどの著書を読んでも、風景や自然に関する描写には感動します。
そこに、彼女自身の記憶、想像、感情が絡まって、
読んでいるこちらの空気や匂いまで、
描かれている景色に溶けていくかのように感じます。

雨の降る、水槽に閉じ込められたような日に読みたいのですが、
水辺にいる感覚があまりにリアルで、
もう少し暖かくなってから読みはじめれば良かったな、
と思っています。

『陰りゆく楽園-外来種vs.在来種の攻防をたどる』は、
物語のような、生態学に関する書籍。
そこに描かれている生態系の危機は事実なのですが、
生物の戦略が巧みさに、フィクションのように錯覚してしまいます。
この本を読むまで”ミナミオオガシラヘビ”というヘビの名前も知らなかったので、
そんな”エデンの園”にいたヘビみたいに、
したたかなヘビが実際にいるなんて信じられない!
(この書籍の原題は『OUT OF EDEN』)
そんな驚きを禁じえません。
どこからか移入してきたミナミオオガシラヘビのせいで、
グアムで鳥類が激減している。
なんて読めば、これは物語なの?と思ってしまう。
でも、それが真実なのです。
そして、それら外来種の移入に大きく係っているのが、
私たち人間の移動。
飛行機や船のわずかな隙間に潜んで、
彼ら自身の力ではたどり着けるはずのない地へ上陸し、繁殖する。
でも、彼らはただ生きているだけなんですよね。
狭くて安心できる隙間があったから入ってみて、
気付いたらなんだか前と様子が違う。
でもまあ食料もあるし、仲間と出会えば繁殖もする。
ライバル(競合する他の生物)も天敵もいない、
となればどんどん増える。
そんな生物の、当たり前のサイクルを繰り返しているだけなんですよね。
恐ろしい現実に慄きながら、
どうすればいいのか、と足りない頭を悩ませながら読んでいます。
じっくりと、事実を噛みしめつつ。

これは、余力のあるときに取り組みたいので、
頭を使わなさそうな仕事のときに・・・。
原稿が溜まっているときなんかは絶対に選びません、はい。

ね、選んでいる本が結構”おそと”でしょ。
ちょうどタイミングよくそんな時期だっただけで、
ものすご~くインドアでアングラなものを読んでいるときもあります。
が、おそとへ出ていないから、
心が勝手におそとを感じれるものを求めたのかも。
なんていうと、出来すぎ?

ではでは、本の紹介をすると、
文字数が多くなってしまって、すみません。
次のブログの更新こそは、本当のおそとのネタを!
と、心に誓う編集部山本がお送りしました。