誰もが子どものころから持っているはずのアートの心。それを芽生えさせるお手伝いをOSOTOは考えました。それは、おそとにある枝や花、落ち葉、どんぐりなどでモビールを作る教室を開催するというもの。アートの心を刺激する、簡単で、とっても楽しい方法を紹介します!
今回の教室で先生をお願いしたのは、モビール作家のいろけんさん。モビールというのは、紙などの薄い素材でできたオブジェを糸や棒に吊るした、動くアートのこと。いろけんさんは、クスッと思わず微笑んでしまうような作品や透ける素材を使った作品など、ストーリー性のある楽しいモビールを作っています。以前にもおそとでモビール教室をしたことがあるといういろけんさんに、まずはおそとでモビールをつくるときの注意点を聞いてみると、「糸やはさみ、カッターなど道具を全く使わないこと。そうすれば、何も持たずにおそとへ遊びに行ったときでも、モビールが作れるでしょ」。なるほど、おそとで作るモビールは、人が自然に近づくところからはじまるようです。
モビール教室は秋の晴れた日に、服部緑地でおこないました。参加してくれたのは、4歳から小学校3年生の子どもたちとお母さんたち。元気いっぱいの子どもたちは、普段から服部緑地でよく遊んでいるとのこと。公園のテーブルセットに着席したら、モビール教室のはじまりです。
事前に準備しておいたモビールを見てもらいながら、簡単にモビールについてお勉強。
早速、材料探しへGO!使うのは落ちているものだけ。まだ生きている枝や葉、花を採るのはNGです。むやみに自然を傷つけては、良い作品は作れません。
マツボックリやどんぐり、カラフルな落葉などたくさん材料を集めたら、想像力をフル稼動。どんぐりはどうやって吊るす?葉っぱはどうやって使う???
実際に木に吊るしてから、さらに手を加えます。「これいいアイデアね」なんておしゃべりしながら、制作はつづく・・・。
最後に上手くバランスをとれるように調整したら、ゆらゆらゆれるモビールの完成です。
つくっている間は、みんな夢中。どんぐりをマツボックリのひだにはめるという斬新な方法を子どもが考えたら、お母さんは負けじとマツボックリを吊るす草をみつあみにしたり、次々新しいアイデアが溢れてきます。掌より大きなきのこに、赤い落ち葉を貼り付けたいと考えていた男の子は、最初は「のりがあったらな~」なんて、言っていましたが小さな枝で葉をキノコに止めるという方法を編み出して、大成功。おそとに落ちている素材は、形も質感も色も様々。それらを自分で見つけ、手でふれて、感じながら作ることで想像力や創作意欲が刺激されるのでしょう。1時間ほどで、まさに十人十色のモビールが完成しました。
できた作品は木に吊るしたままにして、持って帰りません。これも、おそとでのモビール教室のポイントのひとつ。鳥がきてどんぐりを取っていってしまうかも、風が吹いて葉っぱが落ちてしまうかも。そんな風に想像したら、公園にもっと行きたくなりそうでしょう?そして、園路沿いにモビールが揺れていたら、知らない人も足を止めてきっと眺めるはず。そう、おそとがギャラリーになるんです。誰がつくって飾ったのかわからないけれど、公園を散歩するのがとても楽しくなりそうです。「それに、全て自然の素材だから、落ちてしまっても土に還るでしょう」といろけんさん。おそとでつくるモビールは、地球にも優しいアートなんです。
参加してくれた親子に感想を聞いてみると、「モビールのことをあまり知らなかったけど、夢中になってつくりました。楽しかった」とお母さん。子どもたちも、完成した作品には大満足。夢中になって何かをつくるというのが、アートの心を育てる第一歩だとすると、おそとのモビール教室はアートの心を十分に刺激したみたい。
これからの季節は花や緑が一番美しい時期。春の陽気に誘われて、あなたもおそとでモビールづくりに挑戦してみませんか?
モビール作家。ハナレグミのライブでモビールと出会い、独学でモビールづくりを習得。紙以外の素材を使ったモビールや文字のモビールなど、独自の作品を数多く手掛ける。夢はモビール工場をつくること。