自然が作り出す“あかり”や人工的に作られた“あかり”など様々な“あかり”が私たちのまわりには溢れています。“あかり”にはカタチが無く、“眩しい”や“明るい”、“暖かい”、“癒される”など、人によってその捕らえ方は様々です。そんな“あかり”使って、芸術作品として表現したアーティストたちを紹介したいと思います。
光源の形を変えると、こもれびの形が変わるって信じられますか?『木もれ陽プロジェクト』は、そんな不思議を体験できる光のアート。「太陽の形を変えることが出来たら、こもれびの形も変えることが出来る」と考えた木村さんは、夜に特殊な形状をした照明(人工太陽)を使うことで、こもれびの形を自由に変えることを可能にしました。また、このこもれびは、照明を回転させると同じようにくるくる回転します。
“人工太陽”の光が届く範囲の木々の下を歩くと、星型のこもれびに溢れたなかを歩くような体験が出来ます。また、こうした体験によって日中には意識していなかったこもれびに意識を向けるきっかけとなり、自然がつくりだす神秘を全身で感じることができるのです”と木村さん。子ども大人も思わず手をかざして、“あかり”と遊ぶことができる作品です。
<木村 崇人氏>
1997年から「地球と遊ぶ」というテーマで、普段は気付かない自然現象を視覚化する作品を数々発表。様々な切り口から日常生活の中で見過ごしてしまっている地球の力を体感しようと、2006年に東京から南アルプスにある早川町に活動拠点を移す。日本各地のアートイベントで活躍中。
「“風船”は無垢な自由と希望のシンボルであり、“光”は希望の象徴」と平野さん。平野治朗さんの『GINGA』は、その“自由”と“希望”を表現した超小型光源内蔵の風船が舞う幻想的なアート。作品と人が関わってつくり出される参加型アートでもあります。光る風船を持った人たちが街に溢れ出すと、風船を通した柔らかな“あかり”が夜空のなかを幻想的に浮かび上がり、非日常空間を創り出すのです。
『GINGA』は2003年から越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭2003」、水戸芸術館、六本木アートナイト、万博公園など各地で開催されていて、「大地の芸術祭2003」では、国道を全長2km閉鎖し、総計1万人を動員しておこなわれました。また、水都大阪2009では、参加者が風船を手に船に乗り、川辺から眺める人々の視線を集めました。
不思議な存在感を持った、光の風船を眺めながら街中を歩く…。これは体感した人しか分からない感覚です。
<平野治朗氏>
1987年にArt Unit Complesso Plastico を結成し、その後個人またはユニットで活動。主な作品に、濃密なミストに映像を外からプロジェクションする「白光温泉 -Experimental-」、宇宙の記憶を映像と音で体感させる《120億光年》などがある。
『ミラーチップイルミネーション』は、昼間は太陽、夜は照明の“あかり”を反射して“キラキラ”と輝く、たくさんのミラーチップが作り出す人工の天の川の下を歩くことができるというもの。“人と時間と環境をつなぐ”をテーマとし、竹のアーチに飾られたミラーチップが空の色や明るさ、風向きなどによって変化し、多様な光の表情を見せ、見る人を楽しませてくれます。また、このミラーチップには子どもたちの願い事が書かれています。ひとつひとつの“あかり”が、子どもたちと一緒に作り上げた、ただひとつの作品なのです。その願い事を読んで通り抜けていくのも楽しみ方のひとつとなっていて、ミラーチップのトンネルは、通り抜ける人たちの笑顔で溢れています。キラキラと光輝く『ミラーチップイルミネーション』のトンネルは、たくさんの希望の“あかり”に包まれた空間なのです。