vol.06 - スポーツをつくろう。そして、はじめよう。

OSOTOpresents Make New Sports!

“スポーツの秋”の到来です。これからの季節、おそとでスポーツを楽しもうと考えている方がたくさんいるはず。OSOTOではせっかくスポーツを楽しむのなら、スポーツを作るところから楽しんじゃおう、という企画を立ち上げました。はたしてどんなスポーツができたのでしょう?そして、新しいスポーツを考えることで見えてきたものとは?

(写真:大坊崇 *写真:編集部)


“Make New Sports!”というこのワークショップに参加してくれたのは、10名の大学生・大学院生・社会人のみなさんとアーティストのキスヒサタカさん。キスさんは、「水都体操」やアートな玉いれなど、体をつかった楽しめるアートを提案している方。今回はファシリテーターとして参加していただきました。
新しいスポーツを考えるにあたりOSOTOが提案したのは“おそとで楽しむスポーツ”であること。それでは、3日間にわたるワークショップのようすと完成したニュースポーツを紹介しましょう。

1日目

1日目は服部緑地集いの原っぱで、2つのグループにわかれて、体を動かしながら考えることにしました。

一方のチーム(以降Aチーム)は“公園に普通に持ってくるものを使う”ということをポイントにしました。「タオルなら絶対持ってくるよね」と、タオルをテープで留めてボールをつくります。次はゴールはどうするか?「ゴールが動くというのはあまり無いかも」というキスさんの一言で、腕でつくった“わっか”や体をひねって腕と足でつくった“わっか”に、ボールを投げて通れば点が入るということに。原っぱを走っては集まり、ボールを投げては集まり、みんな真剣です。 

もう一方は(以降Bチーム)、ダンボールでつくったプレートを木陰で投げています。木にぶら下げた的に当てることを思いついたようです。が、「なんか盛り上がりにかける・・・」と残念な感想。ダンボールが風にあおられて、なかなか思うように飛ばないというのも問題です。「相手に邪魔されたり、カーリングみたいに一気に形勢逆転されたら面白いかも」という案がでたものの、もう少し調整が必要なようす。悩んでいるようなので、ちょっと心配です。

タオルで作ったボールを投げて、みんなでダッシュ*

なかなかスポーツらしくなりません。ちょっと心配・・・*

2日目

この日は室内でルールや使用する道具の試作品などを考えました。

Aチームは、タオルの丸め方を決めます。「タオル自体に折り方が書いてあれば便利じゃない?」と、おしゃれで便利なデザインを考案。「コートの広さをプレイヤーの歩数で決めれば、子どもや女性にはコートが小さくなっていいかも」と新しいアイデアも生まれました。名前は、かっこよさにもこだわって、日本語で「環球(かんきゅう)」、ドイツ語で“環の玉”という意味の「Zirkel Ball(ツィルケル バル)」と決まりました。

Bチームは、フリスビーを使うことにして、一番の問題、「盛り上がるにはどうすればいいんだろう?」ということに頭を悩ませます。「コートをゾーンに分けて奪い合うのは?」「ゴールも難易度で点数が変わるとか」と様々なアイデアをまとめたり、却下したり。ちょっぴり不安を残しながらも、名前はゾーンとフリスビーで「ZONE Bee」と名づけました。

ルールやタオルのデザイン、スポーツの名前をみんなで相談中*

紙に書いて、細かいルールを決めています。面白くするぞ!*

3日目

実際にできたスポーツを楽しむワークショップ最終日。
再び服部緑地に集まったらLet’s do sports!

Zirkel Ball

コートの端までボールをパスしながら走るスロアー(守備)と、相手がパスしたボールを体の一部でつくったわっか(環)を通して点数をかせぐゴーリー(攻撃)に分かれて争うスポーツ。スピード感とパスの正確さ、チームワークなどが必要とされる、まさにスポーツ。フェイントやロングパスが決まれば「ワッ」と歓声があがります。パスが通ると思ったら、横から走りこんできたゴーリーに環を通されて、がっくりなんてことも。

最後は互いの健闘を称えて礼!

Zirkel Ballルールブック

◎一般規則

その1 プレイヤー

スロアーとゴーリーはそれぞれ3人以上。

その2 公式ボール

ボールはタオルでつくったものを使用すること。
作り方は後述する「ボールの作り方」参照のこと。 

その3 コート

スタートラインからゴールラインまで30歩。

その4 ゲーム

1セット 3分・2分(ハーフタイム)・3分
3セットで1ゲーム。総セットの得点合計で勝敗を決める。

◎ルール

その1 トラベリングタイム

スロワーは5秒以上ボールを持ってはいけない。

その2 トラベリング

スロワーはボールを持ったまま、3歩以上歩いてはいけない。

その3 ワンツーパスの禁止

パスを投げた人にダイレクトに返球することはできない。

その4 リスタート

ボールを落としたら、元の投げた位置からリスタート。

注意!1~3までの反則を犯した場合は、反則3回で相手チームに1点加算される。

◎ボールの作り方

Zirkel Ball ボールの作り方

このスポーツのポイントは、タオルだけあればできること。コートの広さも歩数が基準なので、ちょっとした広場があればできます。くるくるっとタオルをまとめて、「Zirkel Ballやろうよ~」でできちゃうところが、手軽でいい感じ。なかなか良くできたスポーツでしょ?

zone-bee

フリスビーを投げるスロワーとディフェンスにわかれ、交代しながら戦います。ただ投げるだけではなく、ディフェンスにフリスビーを叩き落されると前に進めないという障害が、闘争心を静かに掻きたてます。ディフェンスをくぐりぬけ、5回のスローでゴールできなければ点数がはいらないので、効率よく、正確に前に進むにはどうするかを考えるという頭脳プレイが必要。ゴールの点数によっては一発逆転も可能なので、仲間と戦略を練る楽しみもありますね。走ったりしないので、スポーツが得意ではないという人にも、ZONE Beeはおすすめ。柔らかい素材を使って、ゾーンビーアタックを手づくりするという楽しみもあります。

ゴールは上から5点、3点、2点、1点と難易度で点数がかわります

今回参加者をまとめてくれたキスさんは「最初はどうなるかなと心配でしたが、いいスポーツができましたね」と満面の笑み。参加者も「やっぱり風をうけて汗をかくって、気持ちいい」と大粒の汗を額に光らせながら感想を話してくれました。スポーツをつくることで、どうしてスポーツが楽しいのか改めて考えるきっかけにもなりました。世の中にスポーツはたくさんあるけれど、自分たちで考えたオリジナルというのはなかなかないもの。スポーツを一から考えるというのが難しければ、ルールをアレンジするだけでも、すごく楽しいものになるのかも。あなたも新しいスポーツを考えて、Zirkel Ballや ZONE Beeと一緒に楽しみましょう!


キスヒサタカ

アーティスト。『ささやか!くだらない!楽しい!』をモットーに老若男女が楽しめるコミュニケーションをテーマとしている。昨年開催された水都大阪2009では、「水都体操」を考案した。


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