ピクニックの魔法~4つのピクニッククラブ

ピクニックの魔法~4つのピクニッククラブ

“ピクニッククラブ”。なんて楽しそうな響きでしょう。大人たちが集い、食べて飲んで語らい、創造する集団“ピクニッククラブ”。彼らがピクニックを繰り返すのはなぜでしょう?もしかしてピクニックには、楽しい以上の魅力があるのでは?!そんな疑問を、東京や大阪で活動する4つのピクニッククラブのみなさんにお聞きしました。


+αが面白い~京王線ピクニッククラブ

2010年の春、暖かくなりだしたころに発足したという“京王線ピクニッククラブ”。大学で建築や都市を専攻している学生たちがはじめたピクニッククラブです。クラブの特徴をメンバーの布川さんに聞いてみると、「自慢の一品を持ち寄って、友だちの友だちを友だちに」というお答え。持ち寄るものは「ピクニックに、もうひとつ別の楽しみを足したいから」と食べ物にこだわらず、プラレールやDJセット、野点の道具、照明など、十人十色。

なかでも印象的なのが、2011年の夏におこなった“roof top picnic cafe”というイベント。「自分たちの力以上のものが働いた気がする」と布川さんが言うこのイベントでは、屋上のカフェでライトを点けたプラレールを走らせ、その輪のなかでピクニックをおこなったそう。実現できたのは、営業中にもかかわらずイベントをさせてくれたカフェの方や、twitterのつぶやきを見てプラレールを貸してくださった方などとの出会いがあったから。夜の屋上に描かれた光の軌跡は、クラブのメンバーだけでなく、たくさんの人が関わって「場をつくる」ことができたから生まれたものなんです。

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「最初は、ただピクニックをしたかっただけなんですが、続けていくうちにピクニックの目的や意義を考えるようになりました」と布川さん。ピクニックを通して人と出会い、交流することから世界がどんどん広がっているようです。
オススメのピクニックスポット
昭和記念公園

「ダントツでおすすめ」という公園。花みどり文化センターの緑化された屋根から公園を見下ろしながらのピクニックが最高です!

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きっかけは「あとち」~下北沢ピクニッククラブ

小田急線の地下化によって新たに生まれる2.2kmにも及ぶ新しい公共空間、線路「あとち」。その将来は、官民をあげて関係するたくさんの人の興味を集めています。下北沢ピクニッククラブでは、そんな「あとち」の使い方や楽しみ方をピクニックをしながら考えたことがきっかけで、2011年に生まれました。メンバーは下北沢に住まう人、働く人、遊びに来る人などなど、年齢も職業も様々。

「街をみんなで楽しむ、いろいろな形」を模索しながら下北沢周辺エリアで活動しているというピクニックは「毎回なにか新しい発見があるのが面白い」と、メンバーの前田道雄さん。「下北沢でこんなことが出来たらいいな」というアイデアや意見を交換をしようと開催された「オープンピクニックーGREENLINE MEETS “YOUR IDEAS”」では、下北沢を研究のテーマに選んだ大学生など、とにかく下北沢に興味があり、同じように感じている人と交流したい!という方がたくさん集まったそう。「下北沢」というひとつのテーマを題材に、多様な人が集い、気軽に、平等に意見を交換できるのは、ピクニックだからでしょうか。

まだ見ぬ空間の楽しみ方を、ピクニックをしながら考えるというのがこのピクニッククラブの面白さ。彼らがアイデアを出し合って実現した空間で、いつかピクニックしてみたいですね。

オススメのピクニックスポット

特定の場所というよりも気持ちの良い天気と、楽しい仲間とピクニックができる開かれた場所があれば、そこが最もオススメのピクニックスポットだと思います。

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大人も子どもも楽しめる〜大阪ピクニッククラブ

「ちょうど自分に子どもが生まれたときに、同時期に親になった友人が多くて。小さな子どもたちも一緒に集まれるからと、ピクニックをする機会が増えていったんです」と、話してくれたのは大阪ピクニッククラブ発起人の井上亮さん。予定のない日があり、天気がよければ気軽に「ピクニックせ〜へん?」と声をかけ、のんびりと近くの公園で過ごすというのが当初のスタイル。現在は、TwitterやFacebookで開催を呼びかけ、誰でも参加できるようにしています。「社会人になると、新たに人と出会う機会ってなかなかないですよね。だからピクニックで仕事関係の人でもない、知らない人と出会って仲良くなれたらいいなと思っています」と井上さん。飛び入りの参加も、大歓迎だそう。

また他のイベントとピクニックを組み合わせて楽しんだりもしています。グルメイベントが開催されている公園に行って、屋台で調達した食事を楽しみながらピクニックをしたりと、型にとらわれず自由に楽しんでいます。
ピクニッククラブができたのは、子どもの誕生がきっかけですが「子どもが大きくなって、自分たちの時間を過ごすようになってからも楽しみ」と井上さん。子どもたちが成長して離れ、そしてまたいつか一緒にピクニックを楽しむときが来るかもしれません。それまでの時間も、ピクニックをしながらなら楽しく待つことができそうですよね

オススメのピクニックスポット
万博公園

太陽の塔を見ながらピクニックできるというのが、やっぱり最大の魅力。広いので、ひとつの公園でありながら、いろいろな場所が楽しめるのもいいですね。

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もっと街にピクニックの権利を!~東京ピクニッククラブ

2002年にピクニック生誕200年を記念して設立したという、東京ピクニッククラブ。今回お話をお伺いした全ての方からその名を聞くほど、ピクニック通の間で知られた存在です。それは、世界一のアンティークピクニックセットの所持数を誇り、忘れられていたピクニックの歴史を掘り起こし、創造性や社交性という楽しい以上の魅力を見出したという、ピクニックのスペシャリストだから。
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そんな彼らの活動の核は「ピクニック・ライト」という「人と出会い、時間を忘れて語り合い、自然と文化を楽しむ権利」(東京ピクニッククラブHPより抜粋)です。都市居住者が自然のなかでの憩いを求めたとき、わざわざ郊外に行くのではなく、広い屋外の公共空間に集い、気兼ねなく語り合うことができる場所が欲しい。都市に暮らす人にはそれを求める権利がある!というわけです。
国内外を問わず、たくさんの都市でピクニックをしているのも彼らの特徴です。2008年8月には、イギリスのニューカッスル/ゲーツヘッドで10日間にわたるピクニック・プロジェクト「ピクノポリス」を実施しました。街を象徴する10の風景を探し出し、毎日異なる場所で、誰でも参加できるピクニックをおこなうというのがその内容。「参加者はいずれも個性的で、皆さん街を楽しむのが上手でしたね」と伊藤さん。私たちが日々を暮らす街に積極的に興味を持ってみれば、まだまだピクニックができる素敵な場所があるのかもしれません。

「活動をはじめたころは、なかなか私たちの趣旨が伝わりにくかったのですが、何年か前から各地にピクニッククラブがつくられ、ユニークな活動をされているのでわくわくしています」と伊藤さんが語るように、今回お話をお伺いしたピクニッククラブ以外にも各地でピクニッククラブが結成されています。そこに参加してみるのもよし、新たに立ち上げるのもよし、積極的にピクニックを楽しんでみましょう!

オススメのピクニックスポット
皇居外苑と城南島海浜公園

皇居外苑は、絨毯のようにふかふかの芝生がびっしりと生えていて、交通の便のよい場所にあるので集まりやいですね。丸の内のビル群を眺めながら、週末には日比谷野外音楽堂から音楽が聴こえてきたりと、東京の公共空間を満喫することができます。
城南島海浜公園は羽田空港の向かいの島にあり、風向きによって、離発着する飛行機を至近距離で見ることができます。海上ではビルが動いているかのような巨大なコンテナ船が、ゆっくりと移動しています。そのダイナミックな風景が最高にかっこいいんです!

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皇居外苑

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城南島海浜公園

いかがですか?気軽に知らない人とでも打ち解けることができる社交の場としてのピクニックや場所の新たな魅力を知ることができるピクニックなど、ピクニックには様々な魅力があるようです。あなたの街のおそとに、ちょっと気になる空間があったなら、まずはラグを広げてピクニックしてみませんか?気持ちが良かったら、ほかの人も呼んで語り合ってみましょう。思いもしなかった発見や出会いがピクニックから生まれるかもしれません。

これからおこなわれるオープンピクニックは、各ピクニッククラブのホームページやFacebook、Twitterなどをチェックしょう!

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