OSOTO web“おそと”で過ごすライフスタイルウェブマガジン
公園ノートでは、公園やその周辺の魅力的なスポットをご紹介します。おそと編集部オススメの公園。ついつい公園へお出かけしたくなるコーナーです。
せんなん里海公園の最寄駅「淡輪駅」の改札を通ると、「歓迎」と大きく書かれた門が迎えてくれました。懐かしい雰囲気の門をくぐり、いくつかある道案内版に導かれながら、緑の濃い緑道を通ると大阪湾が見えてきます。「海だ!」と思わず声に出しながら、隣接する青少年海洋センターの横を通って公園に入ると、海と大空が目の前に広がります。海開き前の静けさのなかに波の音が響く砂浜は、大阪市内から電車で1時間半しか離れていないとは思えないほど、ゆったりとした時間が流れていました。
夕方までのんびり園内を散歩することにして、砂浜から少し陸に入った森の方へと向かいます。この森には陸ガニ(アカテガニ、ベンケイガニ、クロベンケイガニ)という森に棲むカニがいて、斜面地などに小さな巣穴をあけて暮らしています。7月から8月の満月か新月の夜には、卵を持ったメスガニたちが海へ出て、お腹に抱えたたくさんの赤ちゃんカニを海に放つ、放仔(ほうし)という行動が見られ、園内に設けられた、森から海へと通る岩に覆われた細い窪みと側溝は、どうやらそんなカニたちの通り道のよう。途中には水の出る手押しポンプが設置され、岩陰もたくさんあるため、湿り気の好きなカニたちが身を隠しながら海へたどり着きやすいようになっています。この道を通って、たくさんのお母さんカニが安全に海へとたどり着けたらいいな、と思いながらポンプをひと押し、ふた押し。生き物の神秘的な生態を知り、自然環境についても考えることができた旅になりました。
それからしばらくは、広い海を独り占めしたような幸福な気分に浸りつつ、段差に腰掛けてのんびり海を眺めて夕日を待つことにしました。目の前には海しかない、という眺め。その日は空は明るいものの雲が多く、真っ赤な夕日は見ることはできませんでしたが、淡い色合いの優しい夕焼けを見ることができました。
海と森に囲まれた公園で、陸に棲むカニの生態、そして優しく空を染める夕日を見ることができた満足の日帰り公園旅行。海開きした後は、たくさんの人で賑わうせんなん里海公園の普段の顔を見ることができた気がして、「また会いに来るね」と海に約束して帰路についたのでした。
せんなん里海公園
≫http://www.osaka-park.or.jp/rinkai/sennan/main.html